日本型家父長制を変えるには 男性のためのフェミニズム入門⑦ Progressive! Channel 中野晃一

Progressive! Channel
7 Apr 202307:49

Summary

TLDRこのビデオスクリプトでは、日本の家父長制の構造と問題点について分析しています。男性が会社や国家に優先され、家庭から遠ざけられる「父親不在の家父長制」が社会の特徴となっていると指摘。2020年版の男女共同参画白書に基づくデータから、日本の男性と女性の労働時間の差を示し、男性が家事などの無償労働にかける時間の短さを問題視します。また、男性も家父長制の被害者であり、変化を求めるべきだと説く一方で、政治的な選択の結果として家父長制が続くことを批判。個々人が変化を起こすことを促し、よりバランスの取れた社会を目指すメッセージを伝えています。

Takeaways

  • 🏛️ 家父長制は日本の国家、会社、家庭の3つのレベルで存在し、それぞれが入れ子構造になっている。
  • 🔄 戦前の日本の価値観が現在も影響を与えており、会社が家庭を優先するという価値観が根強い。
  • 👨‍👩‍👧‍👦 家父長制の中では、男性が家庭から会社、さらに国家へと役割が上位に上がるが、家庭レベルでは父親の不在が問題となっている。
  • 📊 2020年版の男女共同参画白書によると、日本の男性と女性の無償労働の時間の差は非常に大きい。女性は男性の5.5倍の時間を家事などに費やしている。
  • 🕒 男性は1日平均41分しか無償労働に時間を費やしておらず、女性は約3時間44分、男性の約5倍以上の時間を家事などに費やしている。
  • 💼 男性が会社に時間を費やすことによって、家庭での役割が薄れ、家父長制の実態と名実の乖離が生じている。
  • 👥 男性も家父長制の被害者であり、会社や国家の要求に応えるために家庭での居場所を失っている可能性がある。
  • 🔄 社会の変化を求めるなら、公的領域だけでなく、家庭の役割分担も変える必要がある。
  • 🌐 国際比較から見ると、日本の男性の有償労働時間は長い一方で、無償労働時間は非常に短い。
  • 👨‍👩‍👧 男性が家庭での役割を果たさないまま、会社や国家に身を捧げることは、個人の幸福や社会の進歩を阻害している。
  • 🗳️ 政治的な選択が家父長制を維持しており、個人の暮らしや幸福を優先する政策に変える必要がある。

Q & A

  • このシリーズの目的は何ですか?

    -このシリーズは、家父長制を変えたい、自分も変わりたいと思っている男性が、フェミニズムについて学び、考え、行動につなげることを目的としています。

  • 日本の家父長制の具体的な特徴は何ですか?

    -日本の家父長制は、国家や会社、家庭が入れ子構造になっており、会社が家庭に優先し、さらには国家が会社に優先する序列が戦前から続いています。

  • 「パトリョーシカ」とは何ですか?

    -「パトリョーシカ」は、家父長制の入れ子構造をロシアの人形「マトリョーシカ」に例えた造語です。

  • 日本の保守派が守ろうとしているものは何ですか?

    -日本の保守派が守ろうとしているのは、国家の威信や権勢、会社の利益と成長であり、家庭レベルの家父長制がどうなろうとあまり重要視していません。

  • 「父親不在の家父長制」とは何を指していますか?

    -「父親不在の家父長制」は、男性が家庭から会社や国家へと吸い上げられ、実際には家庭に父親が不在であることを指しています。

  • 1日の生活時間の使い方における男女差のデータから何がわかりますか?

    -日本の男性は有償労働に長時間を費やし、無償労働にほとんど時間を費やしていない一方、日本の女性は無償労働に多くの時間を費やしていることがわかります。

  • 日本の女性が他国の女性と比較して特に長時間家事をしているか?

    -日本の女性は他国の女性と比較して、特に長時間家事をしているわけではありません。

  • 日本の男性が無償労働に費やす時間は平均でどれくらいですか?

    -日本の男性が無償労働に費やす時間は、1日平均41分です。

  • 家父長制が変わらなければ、女性の社会進出はどうなりますか?

    -家父長制が変わらなければ、女性は男性並みに社会進出することが難しく、無償労働と合わせて1日8時間以上働いている女性が、さらに多くの時間を有償労働に費やさなければならなくなるため、不可能です。

  • 日本の男性が家父長制に対して感じていることは何ですか?

    -日本の男性は、家父長制と言っても実際には家に居場所がないか、いる時間がなく、被害者意識が強いことが多いです。

Outlines

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😐 家父長制の社会構造と問題点

この段落では、日本の家父長制が国家、会社、家庭の様々な規模で入れ子構造になっていることを指摘しています。戦前からの序列や優先順位が厳然と残り、保守派は国の威信や権勢、会社の利益と成長を守ろうとする一方で、家庭レベルの家父長制はそれほど重要視されていないと述べています。また、男性が家庭から会社、国家へと吸い上げられ、家事にかける時間は非常に短いというデータも紹介されています。

05:02

🤔 男性の立場と家父長制の矛盾

第二段落では、男性が家父長制の中で家に居場所がなく、会社でもグリグリやられるという立場について触れています。男性は家事にかける時間は極端に短い一方で、会社での有償労働に多くの時間を費やしていることが示されています。この状況から、男性も家父長制の被害者であり、変化を求める必要があると主張しています。また、政治的な選択の結果として家父長制が続いていることを批判し、個人的なことは政治的なものであるとフェミニストの考えを紹介しています。最後に、政治を変えることの重要性と、個々人の暮らしや幸福を優先する政策への変革を呼びかけています。

Mindmap

Keywords

💡家父長制

家父長制とは、家族内での権威を持つ父親中心の構造を指します。このビデオでは、日本の社会構造における家父長制が議論され、国家や会社、家庭におけるその具体的な特徴や問題に焦点が当てられています。例えば、会社が家庭に優先するという戦前の序列、優先順位が現代でも残っていると指摘されています。

💡マトリョーシカ

マトリョーシカは、中を空にして複数のサイズの同じ形の物体を互いに入れ子にして重ねるロシアの伝統的な玩芸です。ビデオでは、家父長制が国家、会社、家庭の様々な規模で入れ子構造になっていることをマトリョーシカに例えています。

💡パトリアキー

パトリアキーは、父親が家族の中心と権威を持つという概念です。ビデオでは、日本の家父長制が保守派が守ろうとしている国家の威信や権勢、会社の利益と成長を守るためのものであると述べています。

💡無償労働

無償労働とは、家事や育児、介護などの家庭内での労働を指し、ビデオでは、日本の男性と女性の無償労働の時間の差について触れています。特に、日本の女性が男性の5.5倍の時間を無償労働に費やしているという統計が紹介されています。

💡有償労働

有償労働とは、報酬を得る労働を指し、ビデオでは、通勤や会社での労働がその例です。ビデオでは、日本の男性が有償労働に多くの時間を費やしている一方、無償労働に費やす時間は非常に短いという点を強調しています。

💡男女共同参画

男女共同参画とは、男性と女性が平等に社会に参加し、役割を分担することを指します。ビデオでは、男女共同参画白書に基づくデータを用いて、日本の男女の労働時間の差について議論されています。

💡フェミニズム

フェミニズムは、女性と男性の平等を求める思想や運動です。ビデオでは、フェミニズムの視点から家父長制の問題を分析し、男性自身が家父長制を変えることの重要性を説いています。

💡ホモソーシャル

ホモソーシャルは、同じ性別の人たちが集まる社会的な集団を指します。ビデオでは、日本の会社組織がホモソーシャルな性質を帯びており、昔のような親父肌の上司が少なくなっていることを指摘しています。

💡事なかれ主義

事なかれ主義とは、トラブルを避けるために何もしないという考え方です。ビデオでは、日本の会社組織が事なかれ主義で物事が決まる傾向があると述べ、男性が家父長制の中で苦しんでいる状況を示しています。

💡政治的選択

政治的選択とは、政治的な意思決定や政策の選択を指します。ビデオでは、日本の家父長制が自然現象ではなく、政治的な選択の結果として存在していると主張しています。

💡個人主義

個人主義は、個人の自由や権利を重視する考え方です。ビデオでは、日本の社会が国や会社よりも個人の暮らしや幸福を優先する政策に変えるべきだと主張しており、個人主義の価値を強調しています。

Highlights

日本における家父長制は国家、会社、家庭の入れ子構造として存在し、戦前の序列が厳然と残っている。

保守派は国家の威信や権勢、会社の利益と成長を守りたいと考えており、家庭レベルの家父長制はそれほど重要でないと見做している。

日本の男性は家庭から会社へ、さらに国家へと「吸い上げられる」現象があり、家父長制の中で父親不在の家が社会の特徴となっている。

2020年版の男女共同参画白書によると、日本の女性は男性の5.5倍の時間を無償労働(家事や世話)に費やしている。

有償労働の時間において、日本と韓国の男性が他のOECD諸国と比較して異常に長い時間を費やしている。

日本の男性は1日平均41分しか無償労働に時間を費やさず、女性は約3時間44分、男性の約10倍の時間を費やしている。

日本の女性は他の国と比較して家事などに長時間費やしていないが、男性の有償労働時間は異常に長い。

社会進出を望む女性は、男性と同じように会社を優先する必要があり、家事などの無償労働に時間を割くことが難しい。

家庭の役割分担が変わらないと、より等しく自由になれる社会を作ることはできないと示されている。

男性は家父長制の中で被害者意識が強い可能性があり、家事手伝いが期待される一方で会社でグリグリやられる。

日本の会社組織は昔と比べ親分肌の上司が少なく、事なかれ主義のホモソーシャルな社会になっている。

男性は家父長制の中でピンと来ないことが多く、女性が無理を言うようになったと感じることがある。

男性が無償労働に費やす時間は短いが、有償労働に費やす時間は非常に長いため、変化を求める必要がある。

社会の働き方改革は、個人が自分自身の生き方をポジティブに変えることから始まるべきである。

日本の経済や国力の低下は、家父長制の持続につながっていると指摘されている。

フェミニストの見解として、個人的なことは政治的なことであり、政治を変えることも必要である。

日本の政治はおっさんばかりで、家父長じいさんとその息子や孫の政治が退場する必要がある。

政策は国や会社ではなく、個々の人々の暮らしや幸福を優先させる方向に変えていくべきである。

Transcripts

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[音楽] こんにちはプログレッシブチャンネルです

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基本的なところから政治について解説をし ています

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このシリーズは、家父長制を変えたい、自分も 変わりたいと思っている男性が、ともに

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フェミニズムについて学び、考え、行動に つなげていこうとするものですが、前回に

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続き今回も、日本における家父長制の具体的な 特徴や問題について、クローズアップして

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考えて、このシリーズの最終回とします。 前回指摘したのは、家父長制と言った時、実際

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には、国家や会社そして家庭などが マトリョーシカのような様々な規模の

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家父長制支配の入れ子構造になっていること、 そして日本の場合、会社が家庭に優先し

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さらには国家や会社や家庭に優先すると いう、戦前からの序列、優先順位が

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厳然と残っていることです。パトリア キーのマトリョーシカだからパトリョーシカ

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とでも言うべきですかね。いや、そんな言葉は ないですよ。真面目な話、日本の家父長制を変え

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させまいと頑張っちゃってる保守派の人 たちが守ろうとしているのは、何よりも国家

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の威信や権勢で、 そのための会社の利益と成長であり

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ぶっちゃけ家庭レベルの家父長制がどう なろうと、割とどうでもいいのです。

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選択的夫婦別姓や同性婚さえ 認めずに、それこそ名ばかり家父長さえ死守

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できれば。 むしろ

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妻を家庭長と持ち上げて、家庭の切り盛りは 押し付けて

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夫はより上位の家父長制のために身を捧げる ことが

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重要なのです。こうして男性が家庭から会社 へ国家へと

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吸い上げられていく現象が起きていて、 家父長制と言いながら、家庭には父親がいない

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そういう意味では 父親不在の家父長制が日本社会の特徴と

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言えるかもしれません。 そのことをはっきり示すのがこちらの

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データです。これは2020年版の男女共同 参画白書に掲載されたもので、1日の生活

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時間の使い方の男女差の国際比較となって います。ピンクっぽい棒グラフが有償労働

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平たく言えば、通勤や会社で働いている時間。 その上に乗っかった青い棒グラフが無償

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労働つまり家事や人の世話、ボランティア などです。日本はどこだ?と探すときに一番

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わかりやすいのは、オレンジの折れ線グラフ が上に突き出ていて、5.5と書いてある

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ところです。この折れ線グラフは 家事などの無償労働の男女比

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を示すもので、5.5とは、日本では女性が 男性の5.5倍、青い棒グラフ部分の無償

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労働に時間を使っているということです。 ちなみに緑の折れ線グラフは、ほぼ平たく

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日本も含めてどこの国も大差ないですが、 これは有償労働の男女比で、どこもだいたい

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男性が女性の1.5から1.7倍くらい 通勤や仕事に時間を費やしています。

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さて棒線グラフをピンクと青のトータルで 見たとき、日本は男女とも高い方ですが、他に

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も高い国はあります。つまり日本人だけが ずば抜けて、長い時間有償・無償の労働をして

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いるわけではありません。イタリア、フランス、 スペインあたりの男性を見ると、あんまり

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働いてないな、って感じはしますが。また日本 の女性を一番右端のOECD平均と比較

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すると、有償労働時間はやや長く、無償労働が やや短くなっています。日本の女性が他国の

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女性と比べて、特に家事などを長時間 やっているわけではないことがわかります

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異常値を示しているのは日本の男性で、それ も有償労働の時間がグーンと長く、無償労働

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の時間が間違いではないかと思うほど短い わけです

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日本に近いのは韓国だけですね。いずれにし ても、日本の男性が無償労働に費やす時間は

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1日平均41分であまりに短く、女性が 224分つまり3時間44分と

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男性よりも3時間も長く、 男性は女性の1/5も家事などをしてい

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ないことになります。 まあ、身の回りを見ても、大体そんな感じがするの

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ではないでしょうか。ではこれらのデータの 意味を考えてみましょう。まず女性ですが

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日本の男性並みに会社を優先し、そのために 有償労働に時間を割かないと一人前と

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見なされないのだとしたら、これでは男性 並みに社会進出できるわけがないという

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ことが明確ですよね。今すでに無償労働と 合わせて1日8時間以上働いているのに

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11時間以上働かなくてはいけないくなる 計算です。ありえません。より等しく自由に

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なれる社会を作るには、公的領域ばかりを 変えてもダメで、私的領域、家庭の役割分業が

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変わらないと始まらないことが確認でき ます。そういう意味で、女性問題ではなく男性

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問題なのです。 ところが男性はどうかというと、おそらく

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被害者意識が強いのではないでしょうか。 家父長制と言っても、実際には家に居場所が

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ないか、いる時間がないのだから、せめて家で は休ませてくれよ、という愚痴が聞こえてき

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そうです。家では名ばかり家父長で、実態は家事手伝い、 会社に行っても家父長制の

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序列の中でグリグリやられてしまう。実際の ところ日本の会社組織などでも

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昔と比べても、親父と呼ばれたような親分肌 の上司やボスは珍しく、どちらかといえば

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事なかれ主義のホモソーシャルな社会と なっていないでしょうか。

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極端な場合、責任の所在が曖昧で、空気感で なんとなく物事が決まるような。だから男性

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からすると、家父長制と言われても ピンと来なくて

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むしろ女性が無理を言うようになって困る みたいな

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反応もあるのかと思います。 だけど1日のうちの41分だけ無償労働で

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その10倍の452分を有償労働に費やし て

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幸せならともかく、そうでないなら、自分 からそれを変えていくしかないですよね

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もちろん、そうは言っても、暮らしのための 余裕がないんだよ、文句言わずに会社のため

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に働かないと 飯が食えないんだということはある

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でしょう。ただ、そこまで尽くして、会社や国が 本当に面倒を見てくれますか?

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幸せにしてくれますか?人によって何が できるか違うと思いますが、自分なりの仕方

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で、よりバランスの取れた生き方を少しずつ でも目指しませんか。どうせ上から働き方

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改革とか言われるくらいなら、自分から自分 なりの生き方をした方が良くないですか。

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国や会社から言われて働き方だけ改革させ られても、自分の生き方をポジティブに変え

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られるのは自分じゃないですか。無償労働 から得られる充足感、家族や人とのつながり、

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新しい発見、人に世話してもらうばかりじゃ なくて、人の世話をすることができるのも

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楽しいですよね。国が上、会社が優先という 日本社会の根強い風潮から一人一人が自分

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を解放しなければ 結局、会社や国のための新しい働き方で

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終わりますよ。こんなことで日本の経済も 国力も落ちていってるんだから、絶対もっと

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家父長制から自由に生きた方がいいです。お前 はいいよな、と思っているあなた、確かに私は

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恵まれていますが、 恵まれているついでに私がやってることで

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あなたもできることがあります。それは 政治を変えて、入れ子構造の最上位から

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家父長制を変えようとすることです。日本型 家父長制がこんなに非効率的で非生産的になっても

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なお続いているのは、自然現象ではなく 政治的な選択の結果です。

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フェミニストたちが教えてくれたように、 個人的なことは

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政治的なことなのですから、自分だけでなく 政治も変えないと、本当には変わりません。

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おっさんばかりの政治、絵に描いたような家父長 じいさんと、その息子や孫の政治を退場

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させて、お国や会社ではなく、もっと個々人 の暮らしや幸福を優先させる政策に変えて

play07:38

いきましょうよ。 チャンネル登録、高評価、シェア拡散を

play07:42

よろしくお願いします。

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家父長制フェミニズム男性改革社会構造労働分配無償労働有償労働男女平等政治改革生活改善
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